「湖北残照」 拾遺  ~Contents ~

旅のはじめに・・・ 平成24年(2012)12月に3冊目の著作『湖北残照 文化篇』を上梓した。

 『井伊直弼と黒船物語』、『湖北残照 歴史篇』と合わせ、「湖北三部作」として完結させるはずだった。これで滋賀県湖北地方にも一区切りをつけ、新たなる世界にチャレンジしたい。そう思っていた。

ところが、3冊目の『湖北残照 文化篇』で予定が狂った。

 書き切れなかったのである。

書きたいことがたくさんあって、それでも随分削ったつもりではあったのだけれど、『湖北残照 文化篇』は前2冊の1.5倍以上のページ数になってしまった。厚くて重い。自分で書いたものながら、見るからに読者の読む気を削ぐような体裁に呆然としてしまった。

それだけ書いたのに、まだ足りない。

3部作で湖北地方を卒業して新しい世界に挑戦しようという私の目論見は、見事に崩れ去った。仕方がない。もう少し湖北地方に付き合ってもらうか。私は肚を固めた。

しかしこの決断は、私にとって不本意な決断を意味していたわけではない。所詮私は、湖北地方から逃れられない運命にあったのだと思っている。一度湖北地方を卒業して別の世界に足を踏み入れたとしても、いつかまた湖北地方に(もど)ってくるだろう。漠然とだがそう思っていた。

改めて湖北地方と向き合う時間を得て、私の闘志は再び高まった。

この際だから、歴史とか文化とかの枠にはまらずに、湖北地方の気になることについて自由に書いてみよう。

「拾遺」という言葉は、辞書によると「もれているものを拾い補うこと」だそうである。歴史篇、文化篇から漏れたテーマを拾い集め、もう一度、私なりの湖北地方を表現してみたいと思った。

この際だから、その存在があまりにも大きすぎて、とても私には書けないだろうと思っていた「琵琶湖」についても、挑戦してみたいと思っている。

湖北地方を語るに際して、琵琶湖抜きで考えることなどできないと思っていた。前三著のなかで部分的に触れてはいたものの、真正面から取り組む勇気が持てなかった。三部作を書き上げた今だからこそ、少し肩の力を抜いて、しかし正攻法で琵琶湖について考えてみたい。

そういう意味では、最後にやり残したことをきちんと仕上げて、湖北を卒業したいと思っている。

湖北残照 ~拾遺~ 

   目次

1.竹生島
2.菅浦
3.北国脇往還
4.丁野
5.郡上・伊部
6.山本山城址
7.虎御前山
8.もう一度、小谷城址
9.鮒寿司
10.紅殻色
11.千日回峰行
12.伊吹山
13.琵琶湖

旅の終わりに

あとがき

主要参考文献